第六章 突入
フリールの街から100キロほど離れたところを、それは走行していた。
重々しい駆動音を響かせながら、無数の無限軌道が大地を踏みしめる。
「本当に、あったな」
「そうだね」
全長約300メートルにもなる巨大陸上戦艦。〈フェンリル〉は、ゆっくりとした速度で、フリールへ向けて進軍していた。
現在地は、小高い丘の上。〈フェンリル〉との距離、500メートル。
「どうする?」
「内部に侵入して、メインブリッヂを制圧、機関を停止させる。っていうのでどうだろ?」
「いいだろう。進入経路は?」
「これで開けるよ」
ティルは、肩に担いだ無反動砲を掲げてみせる。
「分かった。それじゃ、いくぞ」
地を蹴り、バイクを出す。
傾斜に沿って加速。
丘から下りきったところで、エンジンを動かす。
いくつものサーチライトが動き、視界が白くなった。
フェンリルに認識されたようだ。
アクセルを開け、速度を上げる。
〈フェンリル〉で発砲炎が瞬き、無数の銃弾が背後の地面に突き刺さった。
〈フェンリル〉の図体はデカイ。当然、装備されている機銃の数も半端なものではないが、デカイおかげで死角も多い。
大量の機銃があったとしても、脅威ではなかった。
ハンドルを切り、幾度も進路変更して機銃を回避。
いくつもの機銃が交互に弾を吐き出すが、かすりもしない。
山形になっているフェンリルの側壁に取り付き、一気に甲板上まで駆け上がる。
「甲板に乗った」
「分かってる。司令塔に向かって」
甲板上には、多数の兵士の姿があった。
同士討ちを恐れてか、あまり撃ってくる様子はない。
放っておいても問題ないだろう。
巨大な砲塔を迂回。
艦の中心部、司令塔が見えてきた。
「反動がくるから、気をつけてね」
少女が無反動砲を構える。
進路を固定。
「さん、にい、いち」
カウントダウンが終わると同時に、砲弾が放たれた。
着弾。轟音が響く。
司令塔の外壁に、大穴が開いた。
「行くぞ!」
バイクを倒して停車。乗り捨てる。
ティルが先に降り、司令塔の中へ。
キームは銃を抜き、接近してきた甲板の兵士の相手をする。
左に3人。右に5人。
遮蔽物はない。
敵は事態を把握できていないらしい。反応が遅い。
引き金を引く。
8つの薬莢が転がり、8つの死体が出来上がった。
新手がくる気配は無い。
どうやら、この区画の警備はこれだけのようだ。
警戒しながら、塔の内部へ入る。
内部は、とんでもないことになっていた。
ティルは突撃銃を構え、あふれ出てくるラーグリスク兵を撃ち続けている。
手榴弾を投げ、新手を一掃。
撃ちつくしたマガジンを放棄し、新しいものを装填。
そして、生き残ったものに止めを刺していく。
見事な手際だった。
「ふう。このあたりの区画は制圧できたみたい」
振り返り、汗を拭いながら、ティルは言う。
通路には多数の骸が転がっていた。
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